他のインディ開発者に聞きたいことアンケート~第2回 結果中盤~

インディ開発者の声

前回より、「他のインディ開発者に聞きたいこと」をテーマに行った深堀りアンケートの回答のまとめを行っています。今回はインディ開発者がゲームをリリースして、上手く行った事、失敗、辛かった事、苦労した事などの経験談を中心に、インディ開発の魅力や目標を見ていきたいと思います。

前回の記事はコチラ↓


⑦ 上手く行った事、失敗、辛かった事、苦労した事を教えて下さい

作品をリリースするまで、リリースされた後、それぞれの場面で様々なことが起き、上手く行くこともあれば失敗することもあります。作品を作って出すということは、常に学びを得るということです。
多くの開発者がそれぞれ経験を積んでいます。今回はそれぞれの得たノウハウをこの場で共有し、開発者全体で同じ失敗を回避し、成功しやすい土台を作りたいと思い、アンケートを行いました。
開発者の経験を項目ごとにまとめました。出来る限り開発者が書いたそのままの文面で載せています。他の開発者が感じたことを元に、自身の知識として制作に活かしてもらえればと思います。

■上手く行った事

・開発始めたての頃、いきなりホラーゲームがヒットしてしまい、いまでも伸びてる成功を体験しました。
・有名実況者に実況してもらったおかげで想定異常にDL数が伸びた。
・多言語対応して、プレイヤー数が国内の倍以上に増えた。韓国のコミュニティでバズった。
・1桁の売上と思っていたが3桁行ったので上出来。
・やれるだけやることが出来た。
・VTuberさんに良い取り上げ方をしてもらって売上も伸びた。
・プロモーションを行っていなかったが、公開後に少しづつ発信して3ヶ月経ちダウンロードが増えた。
・家族に応援すると言ってもらえた時に泣いて喜んだ。
・目的の物が完成した。
・プログラムスキルに自信があり、実装・開発はだいたい上手く行った。
・一人で音楽、絵、シナリオ、プログラムすべてをカバーしているため自分の得意分野を最大限活かせた。
・翻訳を依頼した外国人の方が非常に親切で丁寧に熱心に翻訳をしてくれたのが嬉しかった。
・ゲーム名でインパクトがあったので、ダウンロードされやすかったのは良かった。
・配信者に実況してもらえ、超有名な方も数名実況してもらい、認知度が上がりゲームが売れ、SNSのフォロワーも増え、企業から連絡が来た。
・デジゲー博に初出展し、それなりに売り上げることが出来た。
・企画が興味を引く内容で一定の人気を得られた、パブリッシャーからも声をかけてもらって海外展開が出来て販路・収益が増えた。
・面白いと受け入れてもらえた、一定数のファンも得られてとても良かった。
・1人でやり遂げられて完成したこと、高い評価を得て、売れたこと。

上手く行った事、良かった事として挙がったものは上記のような内容でした。
実際にゲームが完成したことや、ユーザーにゲームを受け入れてもらいバズった、という回答が多い印象です。ここで注目したいことは、売れたと回答している人がそれぞれ何かしらの場で取り上げられたことで売れたと回答している物が目立つという点です。どんなに良いゲームでも見つけてもらわなければ有名にはなれません。
狙ってバズることは難しいですが、以下の点を意識してゲームを展開することは重要だと考えます。
・イベントに積極的に出展する
・プレスリリースを多方面に送る

・実況者、VTuberなどのインフルエンサーに取り上げてもらう
・多言語対応して市場を増やす

それでいて、自分でもやってみたい、自分ならこうしたい、など取り上げられた物を見て満足しないゲームにすることも重要です。

■失敗

・失敗はもはや数え切れないほど体験していますが、後悔せず、その失敗を活かしています。
・開発終盤は、バランス調整など自分が好きではない作業が苦痛で、リリースすること自体が目的になってしまった。
・GooglePlayの事前登録の仕組みが理解出来ず即時リリースしてしまった。

▼作り込み、期待像とのズレ
・ゲームに対する感想が自分の想定と違った。
・荒削りでリリースしたため、もっと精度を上げてからリリースすれば良かった。
・やり込み要素が乏しい内容になってしまった。
・プログラムと企画・シナリオを兼任すると工数が爆発し失敗しやすいことがわかった。
・制作時間をかけすぎて、内容が時代遅れになってしまったことがあります。
・芸風を変えようとして失敗した。

制作の工程が上手くいかなかったり、期待像がズレたりすることは常に発生する物だと思います。最初から丁度良い塩梅で開発が出来る人は少なく、ユーザーのニーズに合っているかなども最初からわかるはずがありません。
そのため、まずはいかに早く形にして世に出すかを重視することをオススメします。何度も何度も世に出して反応を見て、都度軌道修正して出来るだけ早く自分の精度を上げていくほうが、長い期間悩み苦しみながら制作を進めるよりも、トータルでは大きくプラスになると考えます。
SNSでの開発経過の公開、デモ版配信、アーリーアクセス配信、様々な方法で完成前に世に出すことが出来る今、早くユーザーの評価をもらって軌道修正出来る機会を逃さないようにしたいです。

▼パフォーマンス、メンテナンス、バグ
・アップデートに伴い、多くのユーザが正常にプレイできない状態に陥るトラブルを複数回経験した。個人でアップデートの頻度が多いタイトルをやると、テストフローに手間がかかり雑になってしまいがち。
・1タイトル運営中にゲームサーバを3回も移行した。現在は1箇所で安定したが、そこに至るまでかなり大変だったし、今でも古いユーザさん相手には古いサーバのデータから探さないといけない。
・一度システムが完成したが、パフォーマンスが悪く1から作り直すことになった。
・メンテナンスが非常に難しい物になり、アップデートが想像以上に難しくなった。
・多プラットフォーム展開にしたことでアップデートの速度が落ちてしまった。
・リリース後、デバッグが不十分で進行不能バグの修正に追われた。レビューに低評価がついて酷評されてしまった。

ゲームのパフォーマンス、アップデートのしやすさ、デバッグなど、開発中になかなか手が回りにくい項目を失敗に挙げる方が多かったです。このようなリリースした後に気づく失敗は、数多く開発すればするほど防げるようになります。設計の段階から最低限抑えなければならない箇所をリストアップして制作を開始し、早い段階で問題が無いか確認しておきましょう。

▼プロモーション
・かなり時間をかけて作った資料や動画などをメディアに送ったが、動画が10秒ぐらいに編集され魅力が伝わらずプロモーションにならなかった。
・宣伝が上手くいかなかった。
・SNSをまともにやってなかったので、熱心にやっておけば良かった。

▼売上
・値段を500円など安くしすぎて開発維持費(生活費)が不足した。値段を変えても国内で売れる数は変わらなかった。
・思ったより売上が少なかった。

個人で制作されて販売までを行うとプロモーションに手が回らないという声は多く頂いています。ちゃんとした宣伝でなくても、SNSで開発中の映像を公開したり、プレイ動画をYoutubeにアップする、情報公開のプレスリリースを送るなど簡単に行える宣伝もあるため、プロモーションという言葉に縛られず情報を出していくことを心がけましょう。

売上に関する失敗は少なかったですが、値決めという点で反省されている方が印象的でした。値決めはインディゲームで非常に大事なポイントとなります。以前投稿したコチラの記事を参考に強気で値段を付けてほしいです。

■辛かった事、苦労した事

▼モチベーション
・1人で開発していたため悩みを相談する相手がおらず、開発に時間がかかった。
・モチベーションが保てず、1年間進捗がなかった。
・1人で作ったため作業量が多く、完成させるのが大変でした。
・1人で作っていたので、自分のやってることが正しいのかわからなくなって辛かった。
・1人で制作しているので、今時分が作っているゲームが、果たして世間に受け入れてもらえるのか、本当に面白いものなのか、不安がありました。それによるモチベーションの維持も大変でした。
・孤独な制作が続き、モチベーションの維持に苦労している。

▼精神的、肉体的不調
・新作を出した後、複数のトラブルが重なってユーザが急速に離れていった事。精神不調で休養を取ることになった。
・自分のゲームの悪口を見ると刺さる。
・収入が不安定なので預金が減り続けてしまい、精神的に追い詰められやすい。
・コロナで外にでることができず、座りっぱなしで1年ほど家に籠っていたことで運動不足になり首を少し痛めた。
・ディスプレイの見すぎで頭痛が増え健康面が悪化した。
・1年間楽しかったが辛くて死にそうだった。

▼ノウハウ不足
・初挑戦でノウハウが全体的に足りていなかった。
・AppStoreの登録はWindowsだと簡単にいかなかった。
・初めてキャラクターデザインをしたので開発しながらスキルアップをする進行だった。
・メモリリークでシステムが不安定になり修正に苦労した。

▼バグ対応
・1人だとバグの修正にとても時間がかかる。
・Android特有のバグ、ブラウザ特有のバグなどプラットフォーム毎に発生するバグがしんどかった。
・バグ発見時やビルド時のデバッグ作業。
・原因不明のバグが発生して大変だった。

▼苦手な工程
・ゲーム以外の部分を作っている時間が苦しかった。
・マップ、キャラクターを安定して量産出来る方法の確立が大変だった。
・企画はサクサク進むが、画像とプログラムがなかなか進みません。
・ネタ切れしたときが辛かった。
・シナリオが泥沼にハマった時など、苦境でも一人で突破するしか無かったのはしんどい場面もあった。
・ゲームギミックを作ることが好きなので、リリース作業などの関係ない部分の作業がとても辛かった。
・実機動作するようにパフォーマンスを調整したこと。

▼費用、製作期間
・大きめの初期投資がしにくい、支払いを後払いにせざるを得ないことが多く、先方との契約内容が不利になることが多い。
・期限が決まった制作だったため、思い通りに動かない場合は、焦ってきてしんどい。

多かったのは、モチベーションや精神的、肉体的な不調に関する項目でした。特に個人で作られている方は、正解の無いモノ作りで精神的にすり減っていくことが多いと思います。苦手な工程で苦戦した声やバグ修正やデバッグで苦労したという声も多く、少人数で制作するが故の苦悩が伺えました。
今後の展開として考えているコミュニティが出来た際には、ぜひそこで情報交換や相談、仕事の依頼などを行って頂き、活用して頂きたいです。

⑨ 今後に向けて改善するつもりであることを教えて下さい

一番多かった回答は、ゲームの完成度、技術力向上についてでした。完成度に関しては単純なクオリティだけでなく、根本の面白さを追求したい、やり込み要素を用意したいなどユーザーに向けた改善点が多かったです。二番目に多い宣伝やニーズの部分は、ユーザーが求めている物を探して作りたい、販路を広げるためコンシューマや海外展開をするという意見がありました。
全体的にユーザーを増やすためのアップデートや販路の拡大、制作の効率化などが多く、どう多くのユーザーにより質の高い物を提供し続けられるかを課題としている開発者が多いことが伺えました。

⑩ インディゲーム開発の魅力を教えて下さい

・好きなものを好きなように作れる
・自分が思う面白いを形に出来る
・何にも縛られずに開発が出来る
・色んな人から感想が貰える
・自分のこだわり、個性を存分に活かせる
・一昔前に比べれば格段に始めやすい環境
・誰とも会わず話さずに生活できる
・会社では作れないような物を思いっきり作れる
・複数分野で活動するゼネラリストの最大の活躍の場

頂いた回答を要約して数が多い順に並べています。好きなものを好きなように作れるという回答がダントツで多く、まさにインディゲームの魅力だと感じました。ほとんどの方が、自由にゲームを作れて、遊んでくれたユーザーから感想が来ることを魅力と感じているようです。

⑪ 最終的な目標を教えて下さい

こちらも回答を要約した物となります。多かった回答は、ゲーム開発を生業として生計を立てられるようになり、色んな作品を作り続けて、多くのユーザーに遊んでもらいたいという物でした。
改めてご回答頂いた開発者の方々のインディゲームへの思いの熱さを実感しています。


まとめ

今回は、上手く行った事、失敗、辛かった事、苦労した事など実際に経験したリアルな声をまとめました。これらの経験談はそのままノウハウとなります。このノウハウをインディ開発者全体で共有し、全員で成功しやすい土台を作ることが我々の目的です。今後も別のアンケートやインタビューを行い、積極的に開発者のノウハウを公開していきたいと考えています。
また、今回辛かった事、苦労した事の項目などで、協力者がいない事や、相談する場が無い事を悩んでおられる方が多いこともわかりました。

以前もお伝えしておりましたが、改めて

・開発者が気軽に情報交換したりメンバーを探したり出来るコミュニティ
・定期的にゲームサイト関係者やパブリッシャーなども招いての小イベント
・様々な面でインディゲーム開発者が世界に向けて勝負していきやすい土台

この展開を進めていく必要性を感じています。

次回もアンケート記事を予定しています。お時間を頂きますが、次回をお待ち下さい!

コメント

タイトルとURLをコピーしました