J-Horror作品を中心としてここ最近で盛り上がりを見せているChilla’s Art氏。先月発売された最新作「Night Delivery | 例外配達」においても多くの実況・配信が行われており、新作が発表されるたびにYouTubeで賑わっています。
「Night Delivery | 例外配達」
作品をプレイしてみても分かりますが、ここ最近のChilla’s Art氏の作品は一度ストーリーを見終えるかプレイ動画を見るなどして内容を知るとそこで終わりになるものが多く、これまでの記事でも何度か話題にした「(動画を見るなどして作品を知った人が)自分もプレイしてみたい!」という欲求に繋がりにくい構成となっています。
ではなぜ多くのプレイ動画がアップされるほどの人気を得ているのか?そのきっかけの大部分を担っているのが「パトロン」のシステムでしょう。
パトロンとは――
投資、あるいは人脈などによって支援をする人たち。
Chilla’s Art氏の場合、投資をすることで「Night Delivery | 例外配達」などChilla’s Art氏が開発するゲームの開発支援ができます。投資者はその見返りとして、例えばVtuberのかたであればそのアバターが描かれたポスターがゲーム内に登場するなど、パトロンならではの特別な恩恵を受けることができます。
「Night Delivery | 例外配達」でも各パトロンのイメージイラストを添えた缶を拾うことができ、集めた缶を眺めるモードもあります。もし缶を拾われなかったとしてもゲームのエンドロールにて、名前だけの表示ではありますがパトロンのロールが流れるため、その名前がとても目に入りやすい設計になっています。
なお、パトロンが受けられる恩恵はその他にもあります。
このようにJ-Horrorらしい冷たげな怖さが漂うなか、作品の雰囲気とはちょっと合っていないような、しかしだからこそ微笑ましく安心感が得られる明るいパトロン広告たちが目を引きつけます。
プレイヤーであればもっと探したいとなりますし、パトロンにいわゆる「推し」が居れば尚更その広告が気になるでしょう。
パトロン広告からの流れでプレイヤーを作品に引き込むことができれば開発者としては嬉しいものですが、それ以上に大きな流れを生み出すものがあります。
それがパトロン広告を見た人が「自分もパトロンになって広告になりたい!ゲーム内に登場したい!」とパトロンを志願することです。
ここにVtuberや実況というコンテンツが加わることによって加速的にパトロンが増え、現在では多くの人がパトロンとして投資をされるまでとなっています。特にVtuberにおいてはVtuber同士でお互いの動画配信を見に行くほど仲が良いということもあって、広い範囲で流れを生みました。
作品で多くの利益を生み出すにあたって大切になる「自分もプレイしてみたい!」の流れを、パトロンという特殊な手段によって成し得たわけですね。
しかし、ゲーム動画投稿者を中心にパトロン経由で人を引き込む流れはそれだけではありません。
パトロンは当然作品を買ってプレイするという以上にChilla’s Art氏に投資をされています。そこで、動画投稿者としては「お金を払っている(投資をしている)以上は、自分もChilla’s Art氏の作品を遊びたい!動画にしたい!」とChilla’s Art氏から最新ゲームが公開された時に実況・配信を行うのです。
ゲーム動画投稿者は通常、自分がこれから実況する作品が他の動画投稿者と被ってしまわないか、被るならば視聴者が分散するからもっと別の作品を探そうか、と少なからず気にするそうですが、上記の場合せっかくならばという気持ちもあって被りも気にせず動画を投稿します。被りを気にして投稿を止めてしまう人を逃がさない土壌があるのです。
結果、沢山の人に実況・配信が行われる環境となっています。多くの動画が投稿されればそこから次の新たなゲームプレイヤーやパトロンへと繋がり、次へ次へと大きく成長していくのです。
Chilla’s Art氏の作品は現在おおよそが低価格ではありますが、パトロンによる収入を考えると価格に対して大きな利益を生んでいることは容易に推測できます。
形態としては独特なものですが、今の時代にマッチした立派な戦術と言えるでしょう。
Steamの作品一覧:https://store.steampowered.com/search/?developer=Chilla%27s%20Art
公式Twitter:https://twitter.com/chillasart
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