[GDC 2021]「Cook,Serve,Delicious!」というゲームを3作のシリーズにした事によって、色々な面で上手くいったよという経験談:Independent Games Summit

インディイベント情報

「Cookin’ and Servin’: Making a Delicious Trilogy of Games」
David Galindo
Game Designer
Vertigo Gaming Inc.

「Cook,Serve,Delicious!」というゲームを3作のシリーズにした事によって、色々な面で上手くいったよという経験談。

https://store.steampowered.com/app/247020/Cook_Serve_Delicious/
1作目は2012年にリリース。Steam「Greenlight」を通過して、2013年にSteamでも販売を開始しました。
バンドル販売や新機能追加などで徐々にユーザーを増やしていったが、当時のユーザー獲得手法は現在ではすでに有効では無くなっているとのこと。

https://store.steampowered.com/app/386620/Cook_Serve_Delicious_2/
2作目は2017年リリース。
スマホでのリリースを無くして、代わりにコンシューマで出してみた。2018年にPS4、2019年にXboxとSwitchでリリース。

作品のボリュームをかなり増やして出したが、リリース当初は完成度があまり高くなかった事もあり「期待外れでは無かった」程度の評価だった。何度かの無料アップデートの結果、Steamでのレイティングが90%まで上がった。

https://store.steampowered.com/app/1000030/Cook_Serve_Delicious_3/
3作目は2020年1月にまずアーリーアクセスで販売開始。
リリースまでのロードマップを公開して進め、コロナの影響でスケジュールが2か月遅れたが、2020年10月に正式リリース。ほぼ同時にXbox、Switch、PS4版も発売した。

その後は追加コンテンツなどに手を付けず、翌月からすぐに次回作の開発に着手した。

開発にかかった時間の比較。
1作目は色々不慣れな点もあり、追加コンテンツなども含めて5年近くかかった。
2作目ではだいぶ慣れはしたが、ゲーム全体をほぼ作り替えたりコンシューマ系の開発が加わったこともあり4年ほどかかった。
3作目はゲームプレイ改善や素材作成に注力出来たことで1年半で済んだ。
次回作も、3作目と同じ程度で済むと見込んでいる。

各タイトルの価格設定と、販売本数(左端)、売上実績(中央)のグラフ。
価格は1作目$9.99、2作目$12.99、3作目$19.99と徐々に上げてきた。
販売本数は減っているが、売上はそれほど大きく変わっていない。3作目の売上は今年中には2作目を抜くと見込んでいる。

とにかく値引きが有効だと言います。
Steamのシステム上設定されている「クールダウンの期間」を除いて常に値引きすることで、作品がSteamの膨大なユーザーの目に触れるチャンスが増える。
これまで値引きに関するクレームがユーザーから来た事は一度も無いとの事。

そして、シリーズ化する最大のメリットはバンドルに出来ることだと力説します。
これまでに、Steamだけでもバンドルで40,000セット売れた。XboxとPlayStationでもバンドル販売での値引きは可能だし、Switchでも近々出来るようになるはずだそうです。

結論として、単独のゲームによって膨大な作品が溢れる市場内で目立つことは難しいので、複数のシリーズ作でユーザーを行き来させるようにしていく事が大切であると言います。
シリーズの新作として出すことによってバンドル販売出来る余地が生まれるし、市場内で目立てる大きな機会になる。DLCやアップデートなどでは同じような効果を期待することが出来ないとのこと。
そして、素早く発売しよう、開発に2年以上かけるべきではないし、どんなに長くても3年が限界だ、シリーズ化する事で開発サイクルも速める事が出来ると言います。

確かに1つの作品で目立つことは非常に難しいですから、こうした形でファン層を作りながら同時に開発効率も上げていく、バンドル販売や値引きの余地を作ることで売上が欲しい時に作れるようになるというのは、非常に有効なマーケティング戦略だと感じますね。

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