ローカライズの壁を越えよう。~ローカライズの際に発生しうる障害~

ゲームを作る

 ローカライズを行う際、いざ翻訳をしたらテキストが表示枠からはみ出してしまった…というような問題が発生することがあります。こうした問題を事前に知っておけば想定外の事態を減らし、対処しやすくなります。
本記事ではその一例を、我々インディゲームスジャパンの経験と合わせて紹介します。

 まずは制作中のゲームでそもそもローカライズをするかどうかを事前に考えておきましょう。
最初こそ1言語でゲームを販売するにしても、内部的にローカライズを意識した作り(例えば言語切り替え機能をオプションに入れておく、次の言語を追加した際に自動で新言語用にテキスト変数列の枠を広げる、など。)にしておけば後々の作業が楽になります。
もちろんこの仕込みそのものにもコストはかかるものなので、あまりローカライズを追加する予定が無ければ仕込まなくても構いません。プロジェクトの規模や売上の予測と相談して決めましょう。

・文章の長さが変わることによって起きる問題
言語の差によって、同じ言葉を表現していたとしてもテキストの全体的な長さが大きく変わる場合があります。例えば『こんにちは』でも繁体字に翻訳すると『你好』となって、「全角文字3つ分」の差が生まれます。
元の言語で表示枠の大きさを完璧に調節しても、いざ他の言語に変えたら過剰にテキストの幅が広くなってしまうかもしれません。
冒頭の「テキストが表示枠からはみ出してしまった」もこの類で、他には「改行の数が増減した/意図しない位置で改行した」「テキスト送りの回数が増減した/自動テキスト送りのタイミングが変わった。その影響でゲームの演出/動作にズレが生じた」「キャラクターのセリフと口パク動作/演出タイミングなどが全く嚙み合わない」「セリフの音声の長さに差がありすぎて、シーンの再生時間内からはみ出す」などの影響が考えられます。
これを回避するため、文字や表示枠の大きさをテキストに合わせて自動調節したり、なるべく全体の長さに差が出ない意訳にしたり、音声であれば声優さんに読み上げの速さを上げ下げしてもらったり、テキスト送りの回数などについては個別に調整する、といった対応もできます。あるいは、最初から枠ギリギリで収まるよう設計するのではなくある程度余裕を持たせた広さにしておくのも手です。
我々に身近な範囲では日本語→英語の際にこの問題が発生しやすいでしょう。

・文字化け
特に2バイト文字が直面しやすい問題です。日本語も2バイト文字ですので念頭に置いておきましょう。ゲーム外のテキストを使用するファイル(readmeなど)や、作っているならば特設サイトなどにも気を配りましょう。日本PCでは問題なくても海外PCでは文字化けするかもしれません。
実機上での動作確認をお忘れなく!

・有志によって作られた翻訳MODとの連携
現在未対応の言語のユーザー有志が翻訳のMODを作成し、自分たちで配布するケースがあります。
それ自体はありがたいことかもしれませんが、後からゲームのアップデートをした際にそのMODが原因でアップデート内容との齟齬が生まれる可能性があります。
翻訳を調整するのが他人である以上、必ずしもアップデートに合わせて最新にしてもらえるとは限りません。特に、既に翻訳された箇所を上書き更新するときには気づいてもらいにくくなります。ユーザーに重大な勘違いをさせてしまうような齟齬が生まれないようアップデートの前後に注意してください。

また、他にもMODによって不具合が生じるケースもあります。公式でないMODなのでそこまでの対応はできないかもしれませんが、こちらが表現したかったものが姿を変える可能性があるということは注意しましょう。

・文化の違いで理解度が異なるもの
日本人向けには馴染み深くても海外目線ではそうでもなく、理解を得にくかったり解釈が違ったりするものもあります。とはいえあらゆる国の文化を全て正確に把握するというのは難しいので、最低限こちらが最も伝えたい・表現したいものが正しく伝わるか、受け入れられるかどうかについて考えるようにするべきです。

また、アップデートで言語を追加するタイミングでSteamページの設定を変更するのを忘れないようにしましょう。これを忘れていると、表面上はいつまでもその言語に対応していないように見えてしまいます。

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