■国内同人ソフトの歴史
日本国内でも1980年代前半頃まではNECのPC-8001、PC-8801、PC-9801各シリーズ、SHARP MZ、X68000シリーズなど一般に普及したPCを使って、個人もしくはそれに準ずる規模でゲームが制作されていました。
当初は「マイコンBASICマガジン」や「I/O」など月刊誌にゲームのプログラムコードがそのまま掲載され、それを各読者が手入力することで作品や技術を共有する形でした。
1980年代前半にフロッピーディスクが普及すると、自作ゲームを簡易なパッケージにして年2回開催されるコミケットの会場で手売りしたり、「テクノポリス」などのPC雑誌で告知して通販したりといった流通形態が主流となっていきます。
1988年「パソケット」という同人ソフト専門イベントが開催されるようになりました。
パソケットは、最盛期の1990年代初頭には東京、名古屋、大阪などの大都市で隔月、その他15~20の地方都市でもそれぞれ年1~2回の頻度で開催され、それと歩を合わせるように各地に同人ソフトの委託販売をする電器店も増えて、ソフマップなどの大手販売店もこぞって同人ソフトを取り扱うようになり、400以上の同人サークルが活発に活動する時期を迎えます。
店に販売を委託しながら各地のイベントを渡り歩いて生活する同人ソフト作家も多数生まれましたが、それも長くは続かず行き過ぎた商業主義による粗製乱造と、1990年代後半のWindowsPCの普及によってゲーム開発技術が断絶した事で、そのムーブメントは収束していきます。
その後も、コミケットでの同人ソフト活動は有志によって細々と続いていました。
現在でも国産同人ソフトとして広く知られる「東方プロジェクト」や「月姫」「洞窟物語」などは、まさにこの期間に作られたタイトルです。
そして、2005年頃からDLsiteなどダウンロード販売サイトが販売力を強めると同時に、特にアダルト分野で同人ソフトの存在感が増し始めました。
そして現在に至るまで、その市場は拡大の一途を辿っています。
ヒットすれば数千本~数万本という国内市場が新たに誕生したことで、インディゲームに向かっていたかもしれないアマチュアゲーム作家のかなりの割合が、同人ダウンロード販売市場に向かっているのが現状だと我々は捉えています。
しかし世界に目を向ければ、100万本単位のヒットが狙える市場がすぐ側に存在しており、そこに打って出ようとするインディチームも続々と出てきています。
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